グローバル・エリート日記

時価総額世界トップ20に入る、グローバル事業会社のリージョナル・ヘッドクォーターに勤める外資系エグゼクティブ・サラリーマンの日記。シンガポール在住。グローバルキャリア、グローバルビジネス論、マーケティング・ブランディング・広告。

年功序列給料で世界的競争力を保てない日本企業

こんな記事がありました。

www.nikkei.com

シンガポールという、グローバル・カンパニーのメッカで働いている私の肌感覚にぴったり合います。課長後期(日本企業の場合30代後半?)から、部長になるにかけて、日本企業の給与は、大体の他の先進国のそれより、下がってしまうということです。

いわずもがな理由は、年功序列に基づく、みんな平等賃金デザインです。こういうことをしていると、優秀でCompetitiveなマインドセットを持つ人材は、どんどん日本企業に見切りをつけてしまいます。

ちなみにですが、これは外資系企業で働く日本人にも影響がありまして。大体、外資系企業の各ローカルスタッフの給与は、その国のその他の企業の賃金をベンチマークして算出されるので、同じ企業で働いて同じような仕事をしていながら、日本で働いているか、シンガポールで働いているか、アメリカで働いているか、でシニアにつれて給料に大きな差が出てしまいます。私が働いている会社でもそうです。ですので、「日本人は高賃金♪」とか勘違いしている日本人が散見されますが、全然そんなことないんですよ。日本からのExpatとしてシンガポールに来ている社員も、いわゆるDirector職くらいになると、ローカル社員に比べて全然給料安いです。しかも、シンガポールは税金インパクトもありますからね。手取り給与でいったら、同じ役職なのに、ローカルか日本からのExpatかで、下手したら2倍くらい差が出ます。

日本国内の企業、人材レベルのCompetitivenessが低いから、こういうことになってしまうのですね。あー、哀れな日本人・・。本当にばしっと稼ぎたいなら、外資の日本支社なんかで天狗になってても駄目ですね。GHQ, RHQがある国に飛び出して勝負しないと。まあ、そんな日本人ほとんどいないのですけどね。

 

起業家として成功することと、大企業で成功することのどちらが楽か?

こんな記事を発見した。

kodamayutaro.hatenablog.com

おなじみのおざーんの学生向け講演内容をまとめたもの。

世の中の風潮として、どうしても二元論で語られがちな、「起業 vs. 大企業」問題。個人的には、どっちゃでも好きなほう取ればえーやんっていうのが結論なのですが、最近の趨勢としては「起業 (or スタートアップ)かっこいい」が主と見受けられるので、天邪鬼な私としては、ポジショントークも含めて幾つかこれに異を唱えてみたい。

1) メディア(特にSNS)にだまされるな

自分のタイムラインに流れてくるまばゆいばかりのニュースフィード。起業家インタビューなどのコンテンツ、「xx億円調達」、などといったニュースがあふれていますね。これは、起業家とかスタートアップならではの特権ですよね。しかしこれに惑わされてはいけない。大企業戦士にだって、負けないくらい語れるストーリーはいっぱいありますよ。ただ、コンプライアンス上しゃべれないことが多いだけ。冷静に内容見てみたら、あれ意外と自分がやってる仕事の方が全然スケール大きいし社会的意義あるんじゃ?と思えることがいっぱいあるはず。

2) 起業家も意外と大企業に対するコンプレックスあり

少なくないケースで、起業した人も最初は大企業で研鑽を積んだという人が多いのですが、意外や意外、競争厳しい大企業で生きていく自信がなくなって半ばドロップアウトでの起業、という人も多いのですよ。私の知人でも、そういうケースは幾つかあって、なのに起業家サクセスストーリー、ではそこの部分は当然包み隠されているわけです。笑っちゃうよね。特に外銀・外コンあがりの起業家には結構いますよ、そういう人。

3) 大企業の役員になるほうが難しいような気がする

おざーんさんも記事で述べていますが。私は起業したことはないのでわかりませんが、特に私が身をおいているようなグローバルカンパニーのGlobal HQやRegional HQの競争はそれはそれは熾烈ですよ。世界中から、えりすぐりの頭脳が集まって、当然英語での競争ですからね。かたや、最近は起業のハードルもぐぐっと下がったし、数億円でEXITみたいなものが一つの起業の成功単位とするなら、グローバル・カンパニーで生き残っていくほうが、よっぽど難易度高いと思います。

4) ライフタイムバリューでのNPVを考慮せよ

報酬面でも、比べてみましょう。スティーブ・ジョブズや、孫さんの例外は置いておいて、今の日本のスタートアップ市場で10億円くらいの起業EXITが一つのベンチマークだとしたら、3-4年で稼げますよ、グローバルカンパニーのDirector以上なら (下記参照)

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 1: グローバル・エグゼクティブ・ボード - グローバル・エリート日記

しかも、やはりそういう大企業でExecutiveだった人は、引く手数多ですからね。色々な面白いエクセレントカンパニーに転職できます。しかもそれが雪だるま式に、ふくらんでいく。プロジェクトライフを一生にした場合、NPVは意外と大企業Executiveの方が高いかもしれません。やはり、世の中はブランド力で動いている部分は大きいのです。起業した人って、意外とキャリアの流動性ないんじゃないかな。1回成功できても、次も起業するしかないですもんねぇ。逆に、大企業Executiveやってた人なら、そのままスライド転職も出来るし、起業も出来るしね。

5) 起業家に幻想を抱きすぎるのは危険 - 起業家は意外と自由ではない

なぜか、大企業で活躍・出世するイコール、政治がうまい人、できる人、みたいな、そしてそれが悪であるというステレオタイプを持つ人が多いような気がするのですが。まずもって、人が組織を作る以上、大小限らず、政治は必要でしょう。また、これは特に男性にありがちなのですが、「自由に、自分で決められる」ことが起業家の醍醐味と勘違いしている人も多いと思うのですが、起業家だって、株主を迎え入れた瞬間、もう片手手錠でつながれたようなものです。自分で単独で意思決定なんて簡単にできるわけありません。よっぽど、大企業のExecutiveの方が、レイヤー少ない中で意思決定できるかもしれません。

 

と、まあつらつら書きましたが。冒頭で書いたとおり、どっちゃでもいいのです。個人が好きなほうを選べば。大企業で活躍する・偉くなることも十分に難易度が高く素晴らしい点は多いはずなので、卑下する必要ないのですよ、サラリーマン諸君。

個人的には、日本の大企業ではなく、私が働いているようなグローバル・エクセレント・カンパニーのGHQやRHQで、役員クラスになる日本人がもっと出てきて欲しいと思う。今、世界でこの地位に就けている日本人って、本当に数えるくらいしかいないのではないか。(日本支社の社長ではないよ。日本支社って、所詮GHQとかRHQから見たら、本当に権力ないから。外資系日本支社の社長なんてごまんと日本にいると思うけど。) 日本でちまちま起業してEXIT、はい人生終了、みたいなものより、規模も、やりがいも、報酬も、よっぽど大きいと思いますよ。

中の上の美貌の日本人女性よ、シンガポールに移住せよ - 日本人女性の市場価値

日本人女性は、海外でやはりモテますよね。実際私も、色々な国籍の方とお付き合いしたり、セックスをしたりしてきましたが、やっぱり日本人女性はいいなーって思います。外国人の男友達と話していても、やはり日本人女性は人気みたいですよ。理由は幾つかあって、

1) 外見を気にかけケアしている女性が多い:

こちら、海外に住むとよーく実感できるのですが、日本人女性の美や外見に対するケアは群を抜いています。メイク、髪型、ファッション。すばらしいですね。外人女性は、良くも悪くも、自然体の人が多い。メイクもそんなにばっちりしないですね。特に、シンガポールローカルの女性、ほんとひどいくらいブサイクばっかりです。スタイルはいいんですけどね。

2) 男を立てることが出来る

総じて、やはり日本人女性は男性を立てることが出来る。よく言えば、協調性・シンパシーがあり、悪く言えば個性がない。外人女性はやっぱり、自己主張激しいですからねぇ・・。

3) 何だかんだオマタがゆるい

外人男性に言わせると、日本人女性は貞操観念があまりないそう。確固とした宗教がないからでしょうか。あるいは、流されやすいからでしょうか。私の経験値からも、確かに外人女性で一晩でファックにいたった確率は、日本人女性と比べると低いなぁと。

さて、そんな海外でもモテモテの日本人女性ですが、どんな人たちがシンガポールに住んでいるのでしょうか。既婚者、独身と共に見ていきましょう。

<既婚者>

基本的に、日本人駐在員妻、外国人と結婚した日本人妻、のどちらかが多いです。前者は、これ見よがしに、夫の駐在員ステータスを自慢する人たち。後者は、大体富裕層の外人と結婚している人が多いので、こちらも基本的にはバブリーな鼻高々人種。しかし、外人の場合、なんでこんな綺麗な人がブサイクな男と結婚?っていうのもたまに見受けられます。まあやっぱり、男は経済力ですかねー。ちなみに、日本人ワイフの会TSUBAKIとかいう、なんともハイソっぽいコミュニティもあるようですよ。まあ、日本人駐在妻であれ、金持ちの外国人と結婚した日本人妻であれ、勝ち組であることは間違いないですよね。

<独身>

セグメントとしては、こちらで紹介したものともちろん女性も被ってきますが、大きなパイとして女性限定で現れるのが、「シンガポール航空のCA」です。各セグメントの特徴を見ていきましょう。どのセグメントも、大体20代中盤から、32-33くらいまでがボリュームゾーンです。

1. 日系・外資問わず駐在員

いわゆる、世の中的に言うエリートな人たちなので、プライドもそれなりに。つるむ相手は大体同じ日系駐在員の20代男子。「あいのり」ではないけど、母国を離れてやはり皆それなりに寂しいので、学生のサークルノリで一緒に旅行したり飲んでるみたいです。プライド高い、もしくは、狭いコミュニティの付き合いなため何か起こすとばつが悪いので、オマタはゆるくない。

2. 現地採用のローカル社員

このセグメントは、帰国子女とかハーフとかが多いイメージ。つるむ男も、同世代の外人とか同じ帰国子女・ハーフとかのバックグラウンド。たぶん、英語がネイティブということやシンガポールで働いていることを誇りに思っているのか、それなりにプライドが高いため、オマタはゆるめ。

一方で、よくわからない企業につとめているが、派手でそれなりに綺麗な女性もたまにいる。この人たちは、日本人・外人問わず、大富豪のオジサンなどによく食事に連れてもらっていったり、旅行に一緒に行ったりもする。まあ、いわば完全に接待要員・愛人枠ですな。

3. 手に職系

ここは、結構色々な職業の人がいますよ。美容師、ネイリスト、英会話教師、画家、通訳、会計士、調理師、バレリーナ、幼稚園の先生などなど。この層は、いわゆる自由人。やっぱり少し変わっている人が多い印象。日本になじめなくて、飛び出しました、みたいな人結構いますからねー。将来に対する漠然とした不安、もしくは、現状の生活水準に対して必ずしも満足していないため、シンガポールに住むエリート男子をつかまえれないかと虎視眈々と狙っている。そのため、オマタはゆるめ。しかし、職業的なステータスがほぼないため、美人でないとやや苦しい。

4. シンガポール航空のCA

唯一、女性で職業セグメントをして意味のある層。容姿はやはり整っており、それなりの知性もある、ということで、シンガポールに住む男性からすると、大変ありがたいセグメントなのでございます。この人たち、新卒で日本を離れて異国の地に来るくらいですから、やはりオープンマインドなのか、オマタゆるゆるです。若手エリート男子との飲み会、金持ちおっさんとのバブリー食事会・旅行、同じシンガポール航空のパイロットや男性アテンダント、と飲み会三昧です。よく、不倫関係になっている例も聞きますね。しかも、例にもれず、お金があまりないので、いさぎよく男性に甘えます。まあ正直、CAなんて東京じゃあもはやほとんど職業的な市場価値はありませんが、シンガポールではまだまだいけます。

 

女性の場合は、職業ごとに格付けをするのが非常に難しい。なぜなら、当然ですが、市場価値が高い女性は万国共通。「美しくて、気立てが良い」です。そういう意味では、職業別であえて格付けするなら、やっぱりシンガポール航空のCAが一番ですかねー。当然入社段階で、スタイルや美貌に関するスクリーニングがあり、サービス業なので男性にある意味奉仕するマインドも持ちつつ、将来に対する不安があるため比較的簡単に男に堕ちる。しかも、美しい独身日本人女性が圧倒的に不足している市場環境において、安定的な供給があるのも良い点です。毎年10人前後新卒で若い日本人女性がシンガポールに渡ってくるようですから。

まあ、職業によらず、ある程度の美貌のある日本人女性なら、日本人・外人問わず、シンガポールではかなり重宝されます。なぜなら、需要に比して日本人女性の供給が圧倒的に少ないからです。その割に、富裕層の男性の率は日本より格段に多い、かつ、シンガポールは狭いので、すぐにそういう金持ちたちと知り合える。そしたら、綺麗な夜景のルーフトップバーでばんばんシャンパン空いて、近隣のリゾートアイランドまでクルージング出来たり、プライベートジェット乗れたり。日本人女性のバリューがインフレしてるんですよね。東京で中の上の美貌でも、こっちに来たら上玉になる。まさに、人材のアービトラージ。いやー、日本人女性のみなさま、シンガポールに来るのは悪くないと思いますよ。ただし、愛人枠としての可能性が高いですがね。

以上。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 7: 日系企業現地採用のサラリーマン・その他

本シリーズ、最後はいわゆる現採の方々です。

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えーっとですね、残念ながら、生活水準という意味で最下層の方々はこのセグメントの人たちです。断っておきますが、あくまで給与・手当てに基づく生活水準に従ったヒエラルキーであって、当然その人たちの人格を否定したり、仕事のやりがいを否定するものではありません。

このセグメントの人たちがどういう人たちかというと、日本企業の現地採用(メーカー、旅行代理店、などなど)か、シンガポールローカル企業の現地採用、もしくは、手に職系(美容師、ネイリストなどなど)といった人たちです。ある意味、この記事で触れた方々も現地採用なのですが、やはり外資系企業(多くは米系かヨーロッパ系)なので、給与水準は全然違います。なぜこういう人たちがシンガポールにたどりついたかというと、

「何となく日本から出てみたかった」

「日本が窮屈だった」

「英語を使う仕事をしてみたかった」

といった何とも漠然とした理由が挙げられます。あまりポジティブな理由で来た人は多くないイメージですね。たぶん、この人たちの給与、月30-40万円くらいだと思います。日本でしたら、全然余裕で生きていけるレベルですが、何せシンガポール。物価が尋常じゃなく高いですので、結構生活は逼迫すると思います。

住居も、HDBという、いわゆる、国営のマンションに住む(しかも、間借りが多い、つまり、あまりお金もちではないシンガポール人が住んでいる公営住宅の一部屋を借りる)か、良くて、安めのコンドミニアムをルームシェアでしょう。

HDBのイメージこちら。

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一方、駐在員が住むコンドミニアムはこちら。

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うーん。格差。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 6: 日系企業の駐在員

本シリーズ第6弾は、日系企業の駐在員。

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シンガポールに住む日系企業の駐在員で多いのは、銀行、証券、商社、メーカー、ですかね。割合的には、やはりシンガポールなだけに金融系が多いイメージです。

いわゆる、誰もがうらやむ日系企業の駐在員。実際のところはどうなんでしょう。最近では、20代で海外駐在させる日系企業も増えてきましたね。商社などでは特に多いイメージです。しかし、実質彼らは「トレーニー」という扱いで来ることも多く、いわゆる駐在員とはちょっと違います。まあ、MBA留学みたいにライトな感覚で、海外で勉強してこいよ、っていうトーンです。この場合、もちろん、家賃は会社が全額出してくれます。20代の若者で30万くらいする家にタダで住めるのですから、悪くないですよね。ただ、それ以外の手当てはほとんどなしです。

一方で、30代中盤くらいから赴任してくる、いわゆる「駐在員」の方もいらっしゃいます。こちら、家賃全額保障、運転手つき、海外赴任手当て、と絵に描いたような駐在員ライフを送れます。ただ、アフリカのように危険な地域ではないので、海外赴任手当てはおそらくベースサラリーの+10-20%くらいではないかと思われます。

駐妻たちが、鼻高々にアフタヌーンティーしているのも納得ですよね笑 まあ実際、井の中の蛙と言いますか、日本人コミュニティでも日系駐妻たちは偉そうにしているみたいですよ。

ただ、やっぱり外資系とはベースサラリーが違いますからね。30代中盤の日系総合商社だとしても、給料は1200万円くらいでしょう。そこにもろもろ手当てがついたって、ベースサラリー自体は1300-1400万くらいにしかならない。一方で、外資のフロントで働いている人は、駐在・ローカル関わらず、30代中盤だったら少なくとも2000万円はもらっているでしょう。それが、30代後半、40台前半となってくると、その年で外資フロントでバリバリ働いている人は、ディレクターか事業本部長のような職になっているはずなので、ベースサラリーも5000万円は少なくともいっているはずです。

ま、サマリーとしては、30代くらいまでは、家賃とか医療費を勘案すると、外資ローカル社員と日系駐在員は大体同等の生活水準(外資Expatはその上)、40代になると、ローカル・Expatに限らず、外資が日系を圧倒、っていうイメージですかね。

なぜ、そういう意味で、本ブログにおいて日系駐在員がヒエラルキーの6番目になっているかというと、個人的にあまり日系駐在員が好きではないからです苦笑 全員が全員そうではないともちろん思いますが、概して、みんなやる気ないというか、遊びで海外赴任している感じなんですよねー。まあ日系企業の場合、本丸が日本なんで、当然海外赴任は経験値を積むとかいわゆるトレーニング以上の意味合いはないのかもしれないけど、皆留学感覚というか、本気でシンガポールで結果を出す、っていうコミットが弱い気がして、だからあまり好きでないんです笑

以上。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 5: 外資系企業のローカル社員 (Not Executive Board)

本シリーズ、今回は5回目、外資系企業のローカル社員です。

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どういった日本人のセグメントが存在しているかというと、ほとんどは、外資系投資銀行か外資系メーカー・コングロマリット・ITの社員ですね。外資系投資銀行でも、多く見受けられるのは、バックおよびミドルオフィスの社員です。前回の記事でも書いたとおり、外資系企業においては、よほど特殊な能力や傑出したパフォーマンスがない限り、日本人がバリバリとシンガポールで働ける意義がありません。よって、いわゆるフロントで働ける外銀マンはほとんど見受けれられませんね。

もちろん、日経企業に比べたら、外資のローカル社員でも給料は良いですよ。ただ、外銀のミドル・バックオフィスでは、ベースサラリー以外のサポートがない。リビング・コストが世界一高いと言われているシンガポールでは、手当てなしで生きていくということは、実質的な生活水準はそこまで高くないということを意味します。事実、20代・30代前半の独身のローカル社員は、高額な家賃を払えないのでルームシェアしている人が大半です。かわいそうに。まあ、ぶっちゃけ、外銀のミドル・バックオフィスの仕事は、ほとんどクリエイティビティのない、事務処理能力が高い人間だったら誰にでも出来る仕事ですからね。

トリッキーなのは、いわゆるバリバリフロントで働く外資ローカル社員。このセグメントの日本人は多くいませんが、いなくはありません。そして、待遇は悪くないです。そもそも、シンガポールの給与水準は、当然ですが、日本より高いです。なぜなら、リビングコストの高さ、人材のコンペティティブネス(シンガポールでは、学歴によってビザ許可の時間が変わるくらいシビアにシンガポールで働ける人材を選んでいます)を勘案しているからです。ですので、家賃サポートなどが出なくても、そもそものベースサラリーの高さが補ってくれます。

個人的には、外資のローカル採用だが、フロントでバリバリと働ける仕事があったら、ありかなって思いますよ。仕事の経験値としても申し分ないだろうし、待遇もそこまで悪くないですしね。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 4: 外資系企業の駐在員 (Not Executive Board)

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4回目は、外資系企業の駐在員。いわゆる、Expatと呼ばれる方々です。

日本で外資系企業と言えば、

1) 外資系投資銀行

2) 外資系コンサルファーム

3) 外資系メーカー・コングロマリット

あたりがよく聞く名前かと思われますが、シンガポールにある外資系企業に勤める日本人Expatは、かなり数が知れています。いわゆる、日本で言う外資の代名詞である投資銀行、コンサルファームのExpatとしてシンガポールに来ている人はほとんどいません。なぜなら、所詮日本の外資系企業に勤める外銀マン・コンサルタントは、極東日本支社のローカル社員に過ぎないからです。彼らは、日本マーケットを担当するから雇われているわけであって、アジア、および世界のヘッドクォーターであるシンガポールに彼らがExpatとして勤める権利を得られるのは極めて稀です。(シンガポールローカル採用は別ですよ)。コンサルは(特にマッキンゼー)、プロジェクト単位で世界各国に飛ぶこともあるので、たまたまシンガポールに来ることはありますが、それはあくまで数ヶ月の短期滞在。プロジェクトが終わったら日本帰国です。

そもそも、外資系企業のExpatの定義ですが、組織体制および個人のパフォーマンスを勘案し、自身が雇われた国以外に、会社に請われて駐在することです。つまり、会社が、ビジネス上の理由でその個人をホームカントリー以外にどうしても送りたい、ということが前提になります。会社都合ですので(もちろん個人に拒否権はありますが)、その分待遇がグーンと上がるわけです。ここが、ローカル社員との大きな違い。ローカル社員は、自分で就活して、会社で働かせてくれ、と言っているわけですから。

では、どんな待遇かというと、

- 家賃サポート: シンガポールはとにかく家賃が高い。しかし、Expatの皆さんは、優雅に超高級コンドに住みます。年次や家族構成によりますが、30代前後でも会社から家賃40-50万円くらいは出るのでは。

- 子供の教育費用: こちらも大きな支出。シンガポールは、教育費もバカ高いです。何せ、世界有数の金持ちが集まる国ですから。インターに行こうものなら、一人あたり年間300-400万はくだらないです。しかし、Expatはぜーんぶ会社もち。すごい。

- 交通費や光熱費などの謎の手当て: さらに、謎の手当てもろもろつきます。ベースサラリーの20%くらい上乗せされるイメージ。

- 健康保険。シンガポールの医療費は、こちらもめちゃくちゃ高額。日本の医療制度と違い、医者も個人事業主の扱いなので個人の裁量で診察費用など決めれます。いわゆる、国が運営しているのではない病院の場合、びっくりするくらい高いです。例えば、出産費用なども、日本人医師が担当してくれる病院で産むと、150万円くらいかかるようです。これ、日本の山王病院なんて目じゃない高さです。

細かいのは色々あるかと思いますが、ざっくりこんな感じです。家族の英会話レッスン(一人あたり100回以上)が無料でつく、という話も聞いたことがあります。もちろん、会社によって違うはずですが、大枠は外れないでしょう。いやーすごいね。これぞ、グローバル・エリート。最近は、日系企業の駐在員でも、インターは行かせてくれないって聞きますからねー。

で、少し話し戻しますが、ではどういう日本人が外資のExpatとしているかというと、実はメーカーやコングロマリットが多いんですねー。GE, Shell, P&G, J&J, Cokeなどなど。やはり、消費財などは人口にマーケットサイズが比例する部分もあるので、日本人が重用される傾向があるのでしょうかね。

まあ、上の待遇も、正直ポジションによってかなり変わるみたいです。マネージャー、ディレクター、事業本部長、と階級が上がるに連れて、上の待遇からどんどん良くなるみたいですよ。ベース給料は30代半ばでディレクターだとして、2000-3000万円くらいで、かつ、上のベネフィットがついてくるわけですね。たぶん、日本で働いている外銀マンより待遇いいですね。よろしいなー。

 

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 3: ヘッジファンドのトレーダー・アナリスト

andrew-sg.hatenablog.com

今回は、ヘッジファンドのトレーダー・アナリスト。

税制の理由で、そこそこの数のヘッジファンドがシンガポールにも存在しています。日本人が経営しているヘッジファンドもちらほら。そこで働く日本人トレーダー、アナリストもそれなりにいます。

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完全実力主義の世界ですので、なんぼ儲けたかで給与を大きく異なるかと思うのですが、やはりそれでも他のどの業界と比べてもダントツの給与水準だと思います。トレーダーについている人は、30代でも数億稼ぐ人はいます。アナリストなんかは、正直業界の分析しているだけだし、大した仕事してないと思うのですが、それでも20代の若造でも2000万以上は確実にもらっていると思います。

昨今は外資系投資銀行も先が見えているので(特にIBD、完全にアップサイドなし、ただの奴隷)、外銀マンの中では、ヘッジファンドを究極のキャリア・デスティネーションとして考えている人も多いようです。

まあ、でもやはり、この業界で働いている人は、ちょっとユニークな人が多いですよね。金の亡者みたいな人も多いし。カジノ好きも多いですので、マリーナベイサンズのカジノに通っている人も多いようです。あと、とんでもない女好きが多いのも事実。よくSQのスッチーたぶらかしてます。

ただ、お金という意味では、完全に勝ち組です。あっぱれ。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー2: 起業家・投資家

前回の続きです。

  1. 外資系企業のExecutive Board
  2. 起業家、投資家
  3. ヘッジファンドのトレーダー / アナリスト
  4. 外資系企業の駐在員 (Not Executive Board)
  5. 外資系企業のローカル社員 (Not Executive Board)
  6. 日系企業の駐在員
  7. 日系企業のローカル社員
  8. ローカル企業のサラリーマン
  9. その他

今回は、2に焦点を当てていきましょう。

様々な税金が安いことで知られるシンガポール。故に、日本ですでにExitした起業家が最近では多く移住してきています。こういう人たちは、大概、お金のため、もしくは子供にグローバルな教育をさせたい、というためだけにシンガポールに移ってきています。なので、シンガポールや東南アジアで事業を成功させたい、という気概があるわけでもなく、いわば人生あがってしまった人たちが多いです。

少し怪しいが、投資家っぽいことをしている人たちもいます。古くからシンガポールに移住し、ローカルに根をはり、日本企業のシンガポール支援をする、もしくは、東南アジアの有望スタートアップにエンジェル・VCという形で投資をする事業投資家、もしくは、ヘッジファンドを設立・運営している金融投資家、後者のほうは、大体、金の亡者で、少し頭イカレている人も多い印象。村上さんとか有名ですよね。

いずれにせよ、彼らは結構な資産を持っている(といっても、人によってピンきりかと思いますが、会社売却を日本でしてきた人たちで数億、生粋の投資家なら十億以上いくのでは)ので、当然豪華な暮らしぶり。シンガポールの中心地オーチャードのど真ん中、IONのOrchard Residenceで優雅にプールに囲まれてBBQなどしています。ちなみに、このOrchard Residenceは、小さめの2bed roomくらいのお部屋でも、月の家賃100万円です。4 bed roomにもなると、180万円くらい。六本木ヒルズ・レジデンスなんて鼻くそみたいですね。Orchard Residenceのプール・BBQピットはこんなイメージです。

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バブリー!まあ、似たような施設があるコンドは、シンガポールの高給取りなら結構住めるんですけどね。(ローカル社員は無理だよ、かわいそうに)

次は、ヘッジファンドのトレーダー・アナリストを見ていきます。

シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 1: グローバル・エグゼクティブ・ボード

世界中の金持ちが集まり、名だたるグローバル・カンパニーのヘッドクオーターが所在する国、シンガポール。沈み行く日本とは違い、国には活気が満ち溢れています。世界一物価が高い国としても有名なシンガポール。この国に住んでいる日本人は、一体どういう人たちなのでしょうか。まずは、男性から見ていきます。

アンドリュー的、ヒエラルキーは下記です。基準は、単純に資産・生活水準です。仕事のやりがいだとかそういうものはとりあえず無視しています。

  1. 外資系企業のExecutive Board
  2. 起業家、投資家
  3. ヘッジファンドのトレーダー / アナリスト
  4. 外資系企業の駐在員 (Not Executive Board)
  5. 外資系企業のローカル社員 (Not Executive Board)
  6. 日系企業の駐在員
  7. 日系企業現地採用のサラリーマン・その他

1と2は、甲乙つけがたいですね。とりあえず、1からみていきましょう。

皆さん、グローバル・カンパニーのExecutiveの暮らしぶりって知っていますか?よく、アメリカの雇われCEOの年収は数十億、とか聞きますよね。東洋経済On lineの記事でも参照してみてください。シンガポールは、大体アジアのヘッドクオーターという位置づけが多いので、いわば、グローバルCEOとまではいきませんが、それでもアジア地域の責任者 (いわゆるRegional CEO)ともなれば、報酬も桁違いです。このあたりになると、キャッシュによるサラリーだけでなく、様々なベネフィットがあります。

  • キャッシュによるサラリー: これだけでも、間違いなく数億はいくでしょう。
  • ストックオプション: このレベルになると、キャッシュより会社の業績と連動するストップオプションの方が大きな割合を占めます。イメージ、キャッシュ3-4割、ストックオプション6-7割。
  • 家賃手当て: Executive boardになると、アメリカやヨーロッパ本社役員という位置づけになるので、そこからのExpat (駐在)という扱いになることが多いです。諸々すばらしい手当てがつき、家賃補助だけで毎月300-400万円くらいもらえると聞いています。
  • プライベートジェット: 当然、移動は会社が用意するプライベートジェット。
  • 子供養育費: インターに入れるのは当たり前。シンガポールのインターだと、一人につき年間400-500万はかかると言われています。

このクラスは、しょっちゅう各アジア地域の国を周り、またグローバル・カンファレンスなどでアメリカ・ヨーロッパに行く頻度も高い。年の半分はシンガポールにいないのではないでしょうか。

世界に何万人・何十万人といる社員のトップですから、その地位に駆け上がるのは、至難の業です。しかも、政界・財界のネットワークもグローバル規模に発展。最近は、スタートアップでExitするのもそう難しくはなくなってきているので、GoogleやFacebook, Uberなどグローバル級のメガスタートアップを作る確率と同じくらい難しいのでは、と個人的には思っています。しかも、日本人でグローバル・カンパニーのRegionトップにつける例は、ほとんど聞いたことがありません。私が知っている範囲だと、P&Gの桐山さんくらいでしょうか。こういう日本人がもっともっと増えてほしいですけどね・・・。

次回から、それぞれのヒエラルキーを詳しく解説していきます。