シンガポールに住む日本人のヒエラルキー 4: 外資系企業の駐在員 (Not Executive Board)
4回目は、外資系企業の駐在員。いわゆる、Expatと呼ばれる方々です。
日本で外資系企業と言えば、
1) 外資系投資銀行
2) 外資系コンサルファーム
3) 外資系メーカー・コングロマリット
あたりがよく聞く名前かと思われますが、シンガポールにある外資系企業に勤める日本人Expatは、かなり数が知れています。いわゆる、日本で言う外資の代名詞である投資銀行、コンサルファームのExpatとしてシンガポールに来ている人はほとんどいません。なぜなら、所詮日本の外資系企業に勤める外銀マン・コンサルタントは、極東日本支社のローカル社員に過ぎないからです。彼らは、日本マーケットを担当するから雇われているわけであって、アジア、および世界のヘッドクォーターであるシンガポールに彼らがExpatとして勤める権利を得られるのは極めて稀です。(シンガポールローカル採用は別ですよ)。コンサルは(特にマッキンゼー)、プロジェクト単位で世界各国に飛ぶこともあるので、たまたまシンガポールに来ることはありますが、それはあくまで数ヶ月の短期滞在。プロジェクトが終わったら日本帰国です。
そもそも、外資系企業のExpatの定義ですが、組織体制および個人のパフォーマンスを勘案し、自身が雇われた国以外に、会社に請われて駐在することです。つまり、会社が、ビジネス上の理由でその個人をホームカントリー以外にどうしても送りたい、ということが前提になります。会社都合ですので(もちろん個人に拒否権はありますが)、その分待遇がグーンと上がるわけです。ここが、ローカル社員との大きな違い。ローカル社員は、自分で就活して、会社で働かせてくれ、と言っているわけですから。
では、どんな待遇かというと、
- 家賃サポート: シンガポールはとにかく家賃が高い。しかし、Expatの皆さんは、優雅に超高級コンドに住みます。年次や家族構成によりますが、30代前後でも会社から家賃40-50万円くらいは出るのでは。
- 子供の教育費用: こちらも大きな支出。シンガポールは、教育費もバカ高いです。何せ、世界有数の金持ちが集まる国ですから。インターに行こうものなら、一人あたり年間300-400万はくだらないです。しかし、Expatはぜーんぶ会社もち。すごい。
- 交通費や光熱費などの謎の手当て: さらに、謎の手当てもろもろつきます。ベースサラリーの20%くらい上乗せされるイメージ。
- 健康保険。シンガポールの医療費は、こちらもめちゃくちゃ高額。日本の医療制度と違い、医者も個人事業主の扱いなので個人の裁量で診察費用など決めれます。いわゆる、国が運営しているのではない病院の場合、びっくりするくらい高いです。例えば、出産費用なども、日本人医師が担当してくれる病院で産むと、150万円くらいかかるようです。これ、日本の山王病院なんて目じゃない高さです。
細かいのは色々あるかと思いますが、ざっくりこんな感じです。家族の英会話レッスン(一人あたり100回以上)が無料でつく、という話も聞いたことがあります。もちろん、会社によって違うはずですが、大枠は外れないでしょう。いやーすごいね。これぞ、グローバル・エリート。最近は、日系企業の駐在員でも、インターは行かせてくれないって聞きますからねー。
で、少し話し戻しますが、ではどういう日本人が外資のExpatとしているかというと、実はメーカーやコングロマリットが多いんですねー。GE, Shell, P&G, J&J, Cokeなどなど。やはり、消費財などは人口にマーケットサイズが比例する部分もあるので、日本人が重用される傾向があるのでしょうかね。
まあ、上の待遇も、正直ポジションによってかなり変わるみたいです。マネージャー、ディレクター、事業本部長、と階級が上がるに連れて、上の待遇からどんどん良くなるみたいですよ。ベース給料は30代半ばでディレクターだとして、2000-3000万円くらいで、かつ、上のベネフィットがついてくるわけですね。たぶん、日本で働いている外銀マンより待遇いいですね。よろしいなー。